シーバー病(Sever病)とは?

障害

はじめに

シーバー病(Sever’s disease)は、小児や思春期のスポーツ選手に多く見られる足部の疾患です

正式には「踵骨骨端症」と呼ばれ、成長期に踵の骨に負担がかかることで炎症や痛みを引き起こします

これは、成長期特有の疾患で、踵骨の骨端核が急激に成長する一方で、アキレス腱や周囲の筋肉がその成長に追いつかないことから発症します

主な症状

• 踵の痛み

運動後や長時間の歩行後に痛みが強くなる

• 腫れや圧痛

踵骨の後部や下部に触ると痛みがある

• つま先立ちの困難

踵を持ち上げる動作が痛みで制限される

• 片足でのジャンプの困難

特にスポーツ時に顕著に症状が出現する

シーバー病の原因

アスレティックトレーナーの観点から考えると、以下の要因が発症に寄与します

1. 成長期特有の体の変化

骨が急成長する際に筋肉や腱が硬くなり、踵に負担が集中します

2. 過剰な運動

サッカー、バスケットボール、陸上競技などのジャンプやランニングを繰り返すスポーツで多発します

3. 不適切な靴

クッション性が不足している靴や、サイズが合わない靴はリスクが高くなります

4. 硬い地面での活動

コンクリートや人工芝などの硬い地面で運動することで衝撃が増加します

診断と治療方法

診断は、主に患者の症状や活動歴、そして踵の圧痛を確認する身体所見によります

必要に応じてレントゲン検査を行い、他の疾患(骨折など)を除外します

治療アプローチ

シーバー病は自然治癒する疾患ですが、適切な対応を行うことで症状の改善を早めることが可能です

1. 活動制限と休息

痛みが強い場合は、運動量を減らすか一時的に休むことが推奨されます

2. ストレッチと柔軟性トレーニング

アキレス腱やふくらはぎの筋肉をストレッチすることで、踵への負担を軽減します

• 壁押しストレッチ

• タオルを使ったアキレス腱伸ばし

3. アイシング

運動後や痛みが出た際には、患部を15~20分程度冷やすことで炎症を軽減します。

4. インソールやパッドの使用

踵部分にクッション性のあるインソールを使用することで、衝撃を和らげます

5. フォームと動作改善

ランニングやジャンプの際のフォームを見直し、負担を分散させることが重要です

運動復帰プログラム

痛みが改善した後も再発を防ぐために段階的な運動復帰が必要です

以下のステップを参考にしてください

1. 低強度の有酸素運動(痛みがない範囲でウォーキングや軽いジョギング)

2. 筋力強化(特にふくらはぎや足底筋群のエクササイズ)

3. 競技特化トレーニング(競技動作を分解し、徐々に負荷を高める)

4. 完全復帰(痛みなく通常の練習や試合に戻れる状態)

保護者や指導者との連携

シーバー病は休息が重要であるため、保護者や指導者に対して適切な理解を促すことが不可欠です

「無理をさせない」「成長期の特性を理解する」といった情報を共有しましょう

予防策

1. 柔軟性の維持

成長期のスポーツ選手にとって、日々のストレッチは非常に重要です

2. 適切なシューズ選び

クッション性があり、足にフィットするシューズを選びましょう

3. 運動量の管理

練習と休養のバランスを取り、成長期特有のオーバーユース(過度使用)を避けます

4. 地面の状態に注意

硬い地面では衝撃を軽減するためのサポートが必要です

まとめ

シーバー病は成長期のスポーツ選手に多く見られるものの、適切なケアとトレーニングで痛みの改善と競技復帰が可能です

アスレティックトレーナーは、選手の身体の状態を正確に評価し、適切なリハビリと予防策を提供する役割を担っています

選手の成長を支えながら、痛みなくスポーツを楽しめる環境を作りましょう!

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